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大十字架

 栄光の聖マリア」の前の天井に吊り下げられている大十字架は、長さ7m。現在、十字架だけになっているが、元来、その左右に、聖母マリアと福音記者である使徒ヨハネの像があった(現在は、パイプオルガンのある楽楼に設置されている)。これは、十字架の道行きのための彫刻、小聖堂の聖フランシスコ・ザビエル像と聖アグネス像の彫刻家ルンガルチェ氏の木彫の傑作。

 1995年の阪神・淡路大震災の後、落下の危険があるとして、取り外され、十字架だけになった。この聖母マリアと使徒ヨハネの像がなければ、この大十字架が、何を意味しているか、解らなくなるので、それがあるものとして、説明しよう。この大十字架は、ヨハネ福音書19:25―27を表現したものである。

 ここで十字架に磔(はりつけ)にされたイ

エスが、そばに母マリアと愛する弟子ヨハネ

がいるのを見て、母に「婦人よ、見よ、あなたの子を」と、愛する弟子に「見よ、あなたの母を」と言われた。このように死を目の前にしたイエスは、ご自分の母と弟子の間に新しい関係が始まったことを宣言された。そのイエスの愛する弟子は、ここではヨハネ個人

ではなくて、今後イエスを信じるすべての

人、つまり教会を意味していると解釈され

る。このように、死を目前にしたイエスが、母マリアを教会の母として与え、それを宣言された。このように、大壁画の光栄のマリア

が、教会の母であるとの聖書的根拠を提示

している。

​ さらにまた、ここでは聖母マリアは「婦人よ」と呼びかけられている。当時のユダヤで息子が母に「婦人よ」と呼びかける習慣はなかった。それでは、福音記者ヨハネは、なぜ「婦人よ」(ギリシア語でギュネ)と書いたのか。実は、この用語は、創世記3:22(ギリシャ語70人訳)から取られている。ここでは、アダムと共に最初の罪を犯したエヴァに言われている。福音記者ヨハネはその用語を聖母に宛てている。こうして聖母マリアが新しい人類の人祖であることを言おうとしている。つまり、この人祖は無原罪の聖母である。したがって、大壁画の聖マリアは無原罪の聖母でもあることを示唆する。この大聖堂の入り口の上にあるのも無原罪の聖母像である。

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